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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻11号

2014年10月発行

文献概要

症例報告

治療関連骨髄異形成症候群を発症した進行期悪性黒色腫の1例

著者: 吉田憲司1 伊藤崇1 和泉春香2 石河晃1

所属機関: 1東邦大学医学部皮膚科学講座(大森) 2東邦大学医療センター大森病院血液・腫瘍科

ページ範囲:P.905 - P.910

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要約 85歳,男性.2005年に左第5趾悪性黒色腫,左鼠径リンパ節転移(StageIIIB)の診断で,原発巣切除と左鼠径リンパ節郭清を施行した.術後は月1回,IFN-β 300万IU/回皮下注を原発巣周囲と左鼠径部に1年9か月間行った.術後6年目に肝転移が出現し,DAV療法(DTIC 120mg/m2 day 1〜5点滴静注,ACNU 60mg/m2 day 1側管静注,VCR 0.6mg/m2 day 1側管静注)を5クール施行したところ腫瘍最大径は60%縮小し部分寛解となった.しかし,DAV療法終了1年3か月後に進行性の貧血(Hb 5.9g/dl)と血小板減少(13.4×104/μl)があり,末梢血に芽球(1%)が出現した.del(5q),-7,del(12p)の複雑型染色体異常とアルキル化剤(DTIC 3,040mg,ACNU 340mg)使用後であることから治療関連骨髄異形成症候群と診断された.発症から2か月後に多臓器不全で死亡した.副作用として頻度は低いものの,アルキル化剤を含む化学療法に伴う血球減少が遷延するときは治療関連白血病/骨髄異形成症候群を考える必要がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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