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文献概要
要約 乾癬患者の治療と現在の重症度が,患者満足度と新たな治療の志向性にどのように影響しているかをアンケート調査によって定量的に検討した.特に,生物学的製剤使用者とそれ以外とで治療の実態と意識が異なるかについて着目した.当院の外来に通院する尋常性乾癬患者の生物学的製剤の使用者44人と未使用者12人,計56人を対象に,2012年12月からの期間に,郵送法自記式質問紙を用いて調査して,28人から回答を得た(回収率50%).従来治療を受けている患者(20人)より,生物学的製剤で治療されている患者(8人)のほうが治療満足度とQOLが高い傾向にあった.また,従来治療を受けている患者では,症状の改善や可視性が治療満足度とQOLに関連した.しかし,それら要因は新規治療の志向とは関連がなかった.生物学的製剤により高い満足度とQOL,症状の改善が達成されており,患者の支えとなっている現状が示唆された.
参考文献
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