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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻12号

2014年11月発行

文献概要

症例報告

左鼠径部皮膚腺病の1例

著者: 小野与里子1 石川理穂1 市川元司2

所属機関: 1岐阜県立多治見病院皮膚科 2岐阜県立多治見病院呼吸器内科

ページ範囲:P.991 - P.995

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要約 87歳,男性.16歳時,肺結核症の既往あり.左鼠径部に熱感に乏しい皮膚腫瘤が出現し,徐々に増大した.精査の結果,精巣結核が認められた.皮膚生検組織では結核病変は認められず,非特異的な炎症所見のみであったが,生検組織からの培養,PCRなどにて結核菌(Mycobacterium tuberculosis)が検出された.精巣病変と皮膚病変が連続していたため,皮膚腺病と診断し,諸検査では肺の活動性結核はなかった.高齢のため,ピラジナミドを除く3剤併用抗結核剤療法にて治癒した.自験例は鼠径部という稀少な部位の皮膚腺病である.炎症所見に乏しい膿瘍形成を認めた場合,特に高齢者では,生検の結果によらず,結核症の可能性を念頭に置き,精査する必要があると考えた.

参考文献

1) 石井則久,他:最新皮膚科学体系,14巻,中山書店,p130, p132, 2003
2) 日本結核病学会(編):結核診療ガイドライン,第2版,南江堂,p1, p3, p36, p80, 2012
3) 竹之下秀雄,他:皮膚臨床 51:1027, 2009
4) 斎藤 敦,他:皮膚臨床 49:139, 2007
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9) 大塩絢子,他:皮膚病診療 32:255, 2010
10) 佐藤敦夫:化学療法の領域 21:203, 2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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