icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻13号

2014年12月発行

文献概要

症例報告

難治性潰瘍を形成した皮膚Mycobacterium abscessus感染症の1例

著者: 松本玲子12 園部博子1 瀧玲子1 本田えり子1 戸田憲一1 田中麗沙3 齊藤晋3 鈴木義久3

所属機関: 1北野病院皮膚科 2京都大学大学院医学研究科皮膚科学講座 3北野病院形成外科

ページ範囲:P.1073 - P.1076

文献購入ページに移動
要約 52歳,男性.左大腿部の圧痛を伴う約5cmの強い浸潤を触れる紅斑を主訴に受診した.蜂窩織炎と診断し塩酸セフカペン・ピボキシルを処方したが自己中断した.1か月後の再診時には紅斑は11×8cmに拡大し,CRPは1.7mg/dlと軽度上昇していた.波動部位の穿刺にて橙色半透明の内溶液が吸引され,培養にてMycobacterium abscessusが検出された.紅斑の中央部は自壊しポケットを有する潰瘍を形成した.レボフロキサシン400mg/日およびクラリスロマイシン500mg/日の内服,病変部全摘術の併用にて治療した.切除標本の病理組織学的検査では,多核巨細胞を伴う類上皮細胞肉芽腫を認めた.抗菌剤は術後2か月まで,計4か月間投与した.術後1年経過するが再発を認めていない.感染源は自宅温泉水である可能性が示唆された.水を介した皮膚感染症にはM. abscessus感染症も鑑別に挙げる必要がある.

参考文献

1) 小松舞衣子,他:皮膚臨床 52:183, 2010
2) 永田敬二,他:臨皮 61:84, 2007
3) Nash KA, et al:Antimicrob Agents Chemother 53:1367, 2009
4) Kothavade RJ, et al:Eur J Clin Microbiol Infect Dis 32:161, 2013
5) Wongkitisophon P, et al:Case Rep Dermatol 3:37, 2011
6) Appelgren P, et al:Clin Infect Dis 47:e11, 2008
7) Sniezek PJ, et al:Arch Dermatol 139:629, 2003
8) Thomson R, et al:BMC Infect Dis 13:241, 2013
9) Lee WJ, et al:J Dermatol 27:264, 2000
10) Ozluer SM, et al:Australas J Dermatol 42:26, 2001
11) Dytoc MT, et al:Diagn Microbiol Infect Dis 53:39, 2005
12) Brantley JS, et al:Pediatr Dermatol 23:128, 2006
13) 佐藤誠弘,他:皮膚臨床 50:841, 2008
14) Teo RY, et al:Acta Derm Venereol 88:625, 2008
15) Wang H, et al:Eur J Dermatol 18:337, 2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?