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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻2号

2014年02月発行

文献概要

症例報告

トリソミー8を伴ったSweet症候群の1例

著者: 堀仁子1 菅野恭子1 本間大1 村上正基2 生田克哉3 飯塚一1

所属機関: 1旭川医科大学医学部皮膚科学教室 2愛媛大学医学部皮膚科学教室 3旭川医科大学医学部内科学講座消化器・血液腫瘍制御内科学分野

ページ範囲:P.118 - P.121

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要約 80歳,男性.38℃台の発熱,多関節痛および圧痛を伴う体幹の浸潤性紅斑を主訴に当科を初診した.血液検査所見で好中球を主体とした白血球11,230/μlおよびCRP 17.29mg/dlと上昇があり,病理組織学的に真皮上層から深層にかけて血管周囲に好中球の浸潤をみたことからSweet症候群と診断した.明らかな悪性腫瘍や血液疾患の合併はみなかったものの,骨髄検査で20細胞中5個のトリソミー8を認めた.内服プレドニゾロン(PSL)を増量すると症状は改善するものの10mg/日以下にすると再燃を繰り返し治療に難渋した.自験例は骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome:MDS)の診断には至らなかったが,MDSの誘因となりうるトリソミー8を認めた.Sweet症候群では好中球の異常活性化が起こるとされているが,トリソミー8が好中球のアポトーシスを抑制することにより本症の病態に関与している可能性がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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