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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻2号

2014年02月発行

文献概要

症例報告

外科的切除によって症状の軽快が得られた肉芽腫性眼瞼炎の1例

著者: 佐藤美聡1 舩越建1 齋藤昌孝1 岡部圭介2 貴志和生2 大山学1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部皮膚科学教室 2慶應義塾大学医学部形成外科学教室

ページ範囲:P.127 - P.131

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要約 50歳,男性.初診の約20年前より右上眼瞼が腫脹し,その後対側にも同様の腫脹が生じた.初診時,両上眼瞼に眉毛部から眼裂まで半球状に隆起する常色~淡紅色の弾性硬の腫脹を認めた.掻痒や疼痛など自覚症状はなかったが,眼裂の狭小化による視野障害をきたしていた.血液検査および全身精査にて明らかな異常所見は認められなかった.病理組織像では,真皮全層にわたる高度の浮腫性変化と乾酪壊死を伴わない小型の類上皮細胞性肉芽腫を認めた.以上より,肉芽腫性眼瞼炎と診断した.上眼瞼の部分切除術および皮弁による再建術を施行したところ,眼裂の開大が得られ,術後1年半の時点で再発はみられていない.肉芽腫性眼瞼炎の治療にはトラニラスト内服やステロイドの内服・局所注射がしばしば選択されるが,無効・再発例が多い.外科的切除は有効な治療方法の1つと考えられる.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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