icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻2号

2014年02月発行

文献概要

症例報告

健常女性の大腿部に生じたMycobacterium chelonae感染症の1例

著者: 伊勢美咲1 安田文世1 木花いづみ1 村松重典2

所属機関: 1平塚市民病院皮膚科 2おしげ皮フ科クリニック

ページ範囲:P.175 - P.179

文献購入ページに移動
要約 60歳,女性.特記すべき既往や外傷歴はない.約6週間前より左大腿後面の浸潤性紅斑を自覚し,近医で抗生剤内服・外用を行ったが改善せず,当科を紹介された.紅暈を伴う4cm大の暗赤色局面で,波動を触れ,軽度の圧痛を伴っていた.表面の一部より黄色漿液性の滲出液を認めた.滲出液および生検組織の培養で,1週間以内に白色コロニーを確認し,Mycobacterium chelonaeと同定した.クラリスロマイシン開始後,3週間で色素沈着を残して消退した.本疾患は免疫抑制状態や外傷が誘因となる一方で,健常者に誘因なく生じた例も報告されている.自験例では,就労中に罹患部を露出した状態で木製の椅子に座ることが頻回にあり,軽微な外傷が誘因となった可能性も示唆された.本症の部位,年齢,時期,性別には一定の特徴があり,これらが合致する症例においては,基礎疾患のない患者でも積極的に本症を鑑別に挙げることが重要と考える.

参考文献

1) Falkinham JO 3rd:Clin Microbiol Rev 9:177, 1996
2) 南  幸,他:皮膚臨床 51:477, 2009
3) 千葉高司,他:西日皮膚 67:358, 2005
4) 近藤幸子,他:皮の科 4:570, 2005
5) 赤坂 玲,他:臨皮 60:579, 2006
6) 平野郁代,他:臨皮 63:62, 2009
7) 清水彩子,遠藤秀治:皮膚臨床 54:476, 2012
8) Yoshida Y, et al:J Dermatol 31:151, 2004
9) 国定 充,他:皮膚臨床 43:1009, 2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?