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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻3号

2014年03月発行

文献概要

症例報告

自然軽快したlichen planus pigmentosus-inversusの1例

著者: 小幡祥子1 伊勢美咲1 安田文世1 木花いづみ1

所属機関: 1平塚市民病院皮膚科

ページ範囲:P.211 - P.215

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要約 81歳,女性.2011年8月頃から腋窩,乳房下,鼠径部など,体幹の間擦部に多発する掻痒を伴わない褐色斑を自覚した.皮疹に先行する薬剤歴はなく,HCV抗体陰性,金属パッチテストも陰性だった.病理組織所見では,軽度の液状変性と真皮浅層の帯状のリンパ球主体の炎症細胞浸潤,多数のメラノファージを認めた.皮疹の分布,病理組織学的所見からlichen planus pigmentosus-inversusと診断した.フルオシノニド外用を1か月続けたが皮疹は改善しなかったため中止した.中止2週間後の受診時に退色傾向を認め,約4か月が経過した現在も無治療のままさらに退色傾向にある.本症では,古典的lichen planusと比較し炎症反応の持続性の欠如が指摘されている.本症の発症,増悪にはKöbner現象が関与している可能性がある.自験例の経過から,外的刺激を減らすよう指導しつつ,未治療で自然経過観察することも治療の選択肢の1つとなりうると考えた.

参考文献

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10) Gaertner E, et al:Dermatol Online J 18:11, 2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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