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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻3号

2014年03月発行

文献概要

症例報告

発症初期に橋本病からBasedow病への移行をみた成人Still病の1例

著者: 安田文世1 木花いづみ1 竜崎正毅2 安藤孝3 大倉光裕4

所属機関: 1平塚市民病院皮膚科 2平塚市民病院内科 3東京女子医科大学高血圧・内分泌内科 4おおくら皮フ科

ページ範囲:P.217 - P.222

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要約 20歳,女性.約1年前に甲状腺機能低下,サイログロブリン抗体,甲状腺ペルオキシダーゼ抗体の上昇があり,橋本病と診断され加療中であった.数日前からの弛張熱,全身掻痒感を主訴に当科を紹介され受診した.サーモンピンク色の紅斑とpersistent papules and plaquesを認め,炎症反応上昇,肝機能障害があり,成人Still病と診断した.プレドニゾロン(PSL)40mg/日より治療を開始するも皮疹が残存したため,60mg/日に増量し,寛解を得た.PSL 10mg/日まで漸減した時点で甲状腺機能亢進症状が出現,甲状腺刺激抗体上昇を認め,Basedow病と診断され,チアマゾール内服で寛解した.後日成人Still病発症時の残血清でTSH受容体抗体の上昇を確認した.Basedow病,橋本病は甲状腺臓器特異的自己免疫性疾患であり,両者にはその機序は不明なものの移行例が存在する.一方で成人Still病とこれらの合併報告はきわめて少ない.自験例ではPSL高用量投与や成人Still病による高サイトカイン血症が甲状腺疾患の変換に影響したと推測する.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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