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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻3号

2014年03月発行

文献概要

症例報告

集学的治療を行った難治性下腿潰瘍を伴うクリオグロブリン血症の1例

著者: 松本考平1 亀井利沙1 溝口奈穂1 中井大介1 池上隆太1 岡樹史2

所属機関: 1大阪厚生年金病院皮膚科 2大阪厚生年金病院内科

ページ範囲:P.223 - P.228

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要約 61歳,女性.既往歴にB型肝炎と関節リウマチがある.初診1年前より両下腿から足背にかけて紫斑が出現した.1か月前から右下腿外側に小潰瘍もみられるようになり,次第に拡大増数したため当科紹介となった.下腿・足背に網状皮斑と大小の打ち抜き潰瘍を認め,病理組織学的に真皮全層の白血球破砕性血管炎の像を呈していた.IgM 863mg/dl,RF 2,162IU/dl,IgM-κ型M蛋白とIgGの混合型(Ⅱ型)クリオグロブリン血症があり,末梢血,骨髄中にモノクローナルなB細胞の腫瘍性増殖を認め,血液内科にてマクログロブリン血症と診断され原疾患と考えられた.プレドニゾロン30mg/日や低温サウナ療法を開始したが難治であった.クリオフィルトレーションを試みたところIgM値・クリオクリット値は速やかに改善し,潰瘍は2か月後に上皮化した.半年後,原疾患であるマクログロブリン血症に対してリツキシマブ,シクロホスファミドを用いた化学療法を施行し,IgM・クリオクリット値は安定した.冬季は保温に努めており,皮疹の再燃はない.クリオグロブリン血症による皮膚症状の病勢と,原疾患の病勢を十分に吟味し治療指針を立てることが重要と考えた.

参考文献

1) Brouet JC, et al:Am J Med 57:775, 1974
2) Ramos-Casals M, et al:Lancet 379:348, 2012
3) 土濃塚広樹:日本アフェレシス学会雑誌 30:220, 2011
4) 山口純奈:腎と透析 68:77, 2010
5) Ferri C, et al:Autoimmun Rev 11:48, 2011
6) Wink F, et al:Clin Rheumatol 30:293, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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