icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻3号

2014年03月発行

文献概要

症例報告

左胸鎖関節部に生じた先天性皮下皮様瘻孔の1例

著者: 伊勢美咲1 安田文世1 木花いづみ1 栗原誠一2

所属機関: 1平塚市民病院皮膚科 2湘南皮膚科

ページ範囲:P.234 - P.238

文献購入ページに移動
要約 1歳6か月,男児.低出生体重児,二卵性双生児.発育および発達は正常である.出生時より左胸鎖関節部に硬結があり,1歳6か月頃より排膿を繰り返すため受診した.30×20mm大,表面ドーム状に隆起する紅色結節で,波動を伴い,容易に排膿した.造影CT,超音波検査では,周囲臓器との交通はなかった.2歳時に全身麻酔下に摘出した.摘出組織は皮下脂肪織内に盲端を有する重層扁平上皮からなる瘻孔で,内腔に毛を含み,周囲に多数の毛包と,脂腺,汗腺を認めた.先天性皮下皮様瘻孔と診断した.本症は左胸鎖骨関節部に生じ,排膿を繰り返すことを特徴とする.皮様囊腫と類似した組織像を呈するが,臨床的には,発生部位や排膿,膿瘍形成の有無などに関して明らかな差があり,別の疾患概念と考える.

参考文献

1) 松永若利,他:西日皮膚 56:34, 1994
2) Muto J, et al:Clin Exp Dermatol 29:96, 2004
3) Numajiri T, et al:Acta Derm Venereol 88:538, 2008
4) Adachi K, et al:Eur J Dermatol 19:181, 2009
5) MiyamotoT, et al:Br J Dermatol 132:492, 1995
6) 加畑大輔,他:臨皮 64:1035, 2010
7) 鈴木 拓,他:皮膚臨床 41:1349, 1999
8) Moore KL,他:ムーア人体発生学 原著第6版,医歯薬出版,p435, 2001
9) 玉置邦彦,他(編):最新皮膚科学大系,第12巻,中山書店,p261, 2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?