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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻3号

2014年03月発行

文献概要

症例報告

右外眼筋麻痺を併発した右三叉神経第一枝領域帯状疱疹

著者: 角村由紀子1 小泉佳奈1 水野麻衣1 村上陽子2 松山智昭2 大畑千佳1

所属機関: 1市立池田病院皮膚科 2市立池田病院眼科

ページ範囲:P.249 - P.253

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要約 66歳,男性.右三叉神経第一枝領域の帯状疱疹で,初診時に右上眼瞼と右側鼻背に発赤腫脹と水疱を認めた.発症3日目よりアシクロビルを7日間投与したところ皮疹と眼瞼腫脹は改善したが,発症右眼の開眼困難と眼球運動障害が生じた.眼科で右動眼神経・右外転神経麻痺と診断されプレドニゾロン30mg/日から投与が開始された.症状改善とともにプレドニゾロンが漸減され約3か月後に投与終了となった.三叉神経第一枝領域に出現した帯状疱疹は,高率に眼合併症を併発し,特に鼻背にまで皮疹が及んでいる場合はHutchinson徴候として知られ,その頻度はさらに高くなる.三叉神経第一枝領域の帯状疱疹の急性期は眼瞼腫脹が著明なため外眼筋麻痺が見逃されやすい.神経麻痺症状が感覚神経だけでなく運動神経にまで出現しているということは,炎症が広範囲に波及していることを意味するため早期の対応が必要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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