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治療
角化型疥癬の1例と院内感染11例の治療経験―特にダーモスコピー法による診断・治癒判定の有用性について
著者: 伊藤寿樹1
所属機関: 1佐渡総合病院皮膚科
ページ範囲:P.269 - P.274
文献購入ページに移動要約 84歳,女性.脱水,低栄養等で当院内科に入院1か月後に手のかさつき,掻痒が出現した.次第に悪化し約2か月目に当科に紹介された.両手掌等に黄色落屑を認め,角化型疥癬と診断の下,直ちに院内感染対策を行った.院内感染者は11名(看護師4名,入院患者と付き添い7名)で全例にイベルメクチン内服とクロタミトン外用の併用療法を行った.角化型症例には4週間,また他の通常疥癬症例には1~2週間の治療を要した.スタッフの感染者には半数にアトピー性皮膚炎があり,入院患者は全例日常生活自立度C2であった.今回,過去の疥癬院内感染報告に比べ院内感染を早期にかつ低率に終息できた.院内感染疑いで受診した多数の患者の疥癬除外診断・確定診断・治癒判定を確実にし,予防投与なしのイベルメクチンの効果的な適応選択にダーモスコピー法が有用であった.
参考文献
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