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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻4号

2014年04月発行

文献概要

症例報告

Bowen病に合併し急速に多発転移したMerkel細胞癌の1例

著者: 園山悦子1 渡邊愛子1 猿喰浩子1

所属機関: 1東大阪市立総合病院皮膚科

ページ範囲:P.323 - P.327

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要約 76歳,女性.約10年前より左胸部に自覚症状のない茶褐色斑が出現し徐々に拡大した.初診時,左胸部に約3cm大の鱗屑付着した角化性紅斑を認めた.皮膚生検病理像にてBowen病と診断し,2011年3月に局所麻酔下に全切除した.病理組織検査を進めたところ,Bowen病の組織内に2mm大の範囲で比較的小型の腫瘍細胞の充実性増生を認め,サイトケラチン20染色で核周囲にドット状に陽性に染まり,Merkel細胞癌と診断した.リンパ管浸潤も認めた.12月に左腋窩リンパ節転移が判明し,60Gy/30分割の電子線照射に反応して消失した.しかし2012年3月に多発肝転移,6月に骨転移をきたし永眠した.初期のMerkel細胞癌の組織像は2mm大と小さかったが,急速に多発転移をきたした.Merkel細胞癌の病期診断にはセンチネルリンパ節生検が重要であり,また治療は放射線療法が非常に有効と考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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