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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻4号

2014年04月発行

症例報告

皮膚転移巣より診断に至った甲状腺濾胞癌の1例

著者: 平井郁子1 崎山とも1 木花光1 髙江雄二郎1 平川昭平2 中山崇3

所属機関: 1済生会横浜市南部病院皮膚科 2済生会横浜市南部病院外科 3済生会横浜市南部病院病理部

ページ範囲:P.333 - P.337

文献概要

要約 76歳,女性.25年前に他院での甲状腺穿刺細胞診で結節性甲状腺腫と診断された.定期的な超音波,血液検査で悪性所見は指摘されなかった.1年前より右前頸部に自覚症状のないしこりが出現した.下床と可動性のある1cm径の硬い淡紅色の結節で,病理組織学的に真皮~脂肪織内に楕円形の好塩基性細胞で構成される境界明瞭な腫瘍塊を認め,一部は濾胞様構造を形成していた.サイログロブリン染色で腫瘍細胞の細胞質が陽性だった.甲状腺濾胞癌皮膚転移疑いにて甲状腺全摘術を行い,甲状腺右葉濾胞癌,左葉乳頭癌と診断した.右葉の濾胞癌は皮膚病変と類似した病理組織像を呈し,被膜浸潤と静脈侵襲があり,前頸部の結節は甲状腺濾胞癌の皮膚転移巣と考えた.濾胞癌は稀な甲状腺分化癌で,転移してはじめて診断されることも多い.皮膚転移性腫瘍で原発巣が不明の場合,積極的に免疫組織学的検索を行うことが重要である.

参考文献

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9) Katoh R, et al:Mod Pathol 13:570, 2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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