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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻4号

2014年04月発行

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文献紹介 爪上皮のWntシグナル活性が爪の成長と指の再生を結びつける フリーアクセス

著者: 安田文世1

所属機関: 1慶應義塾大学

ページ範囲:P.353 - P.353

文献概要

 マウスなどの哺乳類では切断された指趾の先端が再生することが知られている.本論文では爪の幹細胞が爪母の近位側に存在することを証明するとともに,爪への分化に関わる細胞内機構であるWntシグナルが指趾の再生にも関与していることが示された.すなわち,指趾切断時にはWntシグナルの活性化により爪が再生し,さらに間葉系細胞からなる芽体の成長を促進させる末梢神経を引き寄せることで指趾の再生へとつながるというものである.そして,Wntシグナル活性化状態の爪前駆細胞よりも近位側での指趾切断では爪も指趾も再生しないものの,Wntシグナルの活性化において重要なメディエーターであるβカテニンを安定化させるといずれも再生することが示された.以上より,爪の幹細胞が指趾の再生に直接関わっていることが示されたことで,切断指趾を再生させる新たな治療法の開発が今後期待される.

参考文献

Takeo M, et al:Wnt activation in nail epithelium couples nail growth to digit regeneration. Nature 499:228-232, 2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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