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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻5号

2014年04月発行

文献概要

増刊号特集 最近のトピックス2014 Clinical Dermatology 2014 2.皮膚疾患の病態

アトピー性皮膚炎と汗抗原

著者: 平郡真記子1 平郡隆明1 秀道広1

所属機関: 1広島大学大学院医歯薬保健学研究院皮膚科学

ページ範囲:P.43 - P.46

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要約 アトピー性皮膚炎患者は,発汗を増悪因子として訴えることが多い.また,アトピー性皮膚炎患者では皮内テストや末梢血好塩基球を用いたヒスタミン遊離試験で汗に陽性となることが知られており,その反応は抗原特異的IgEを介する即時型アレルギーであることは既に報告されている.しかし,その主要な抗原についてはまだ同定できていなかった.われわれは,アトピー性皮膚炎患者の末梢血好塩基球に対するヒスタミン遊離活性を指標にしてヒト汗を精製し,その主要抗原がMalassezia globosaから分泌されるMGL_1304という蛋白であることを証明した.MGL_1304のリコンビナント蛋白は汗から精製した抗原と同様に強いヒスタミン遊離活性を示した.また,MGL_1304はMalassezia globosaの菌体内では29kDaの蛋白として存在し,分泌後17kDaの成熟蛋白となることを確認した.さらに,ELISA法にて血清MGL_1304特異的IgE値を測定したところ,健常人と比較し有意に高値であり,その値は重症度と緩やかに相関することを確認した.アトピー性皮膚炎において,MGL_1304は汗中に含有される主要な抗原であり,その局在や皮疹の増悪の機序に対するさらなる検討が必要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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