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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻5号

2014年04月発行

増刊号特集 最近のトピックス2014 Clinical Dermatology 2014

5.皮膚科医のための臨床トピックス

水痘・帯状疱疹ヘルペスウイルス初感染の最近の新知見

著者: 伊東秀記12 松尾光馬2

所属機関: 1医療法人社団慈泰会立川皮膚科クリニック 2東京慈恵会医科大学皮膚科学

ページ範囲:P.139 - P.142

文献概要

要約 水痘・帯状疱疹ヘルペスウイルス(varicella zoster virus:VZV)はヒトαヘルペス属の一種で水痘および帯状疱疹の原因ウイルスである.ヒトがこのウイルスに感染すると主に上気道粘膜に感染し,粘膜や局所リンパ節で増殖し,第一次ウイルス血症を起こした後に,肝,脾臓や所属リンパ節などで増殖し,リンパ球に感染している形で第二次ウイルス血症を起こし,真皮から表皮に達し,水疱性病変を形成すると考えられていた.近年のヒト皮膚移植SCIDhuマウスを用いた研究により,感染後,VZVは24時間以内に表皮に達し,感染巣ではINF-α,(活性型)リン酸化STAT1の発現を抑制し,周囲の細胞ではINF-α,リン酸化STAT1の発現は亢進している.また,VZVは感染細胞でSTAT3を活性化(リン酸化)させこのためにリン酸化STAT1の発現は抑制され,リン酸化STAT3はサバイビンの発現を亢進させVZVの複製を容易にすることが明らかになった.このためVZVは表皮に24時間以内に到達するが,病変形成には10~21日を要する.

参考文献

1) Ku CC, et al:J Virol 76:11425, 2002
2) Schaap A, et al:J Virol 79:12921, 2005
3) Schaap-Nutt A, et al:J Virol 80:11806, 2006
4) Ku CC, et al:J Exp Med 200:917, 2004
5) Sen N, et al:Proc Natl Acad Sci USA 109:600, 2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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