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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻5号

2014年04月発行

Derm.2014

初心にかえる

著者: 海老原全1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部皮膚科

ページ範囲:P.116 - P.116

文献概要

 最近,診療の現場で気をつけていることは初心にかえるという意識です.医者になって30年近く経つとどうも傲慢になってしまいます.患者さんの話もある程度の段階でパターン化してしまい,途中でもういいかなというような感じになってしまいます.ある日,アトピー性皮膚炎で通院している女性の患者さんが診察室に入ってくるなり,内服している抗ヒスタミン薬を使用した後にかゆみがひどくなり,皮疹も悪化する気がすると訴えました.患者さん達の訴えによくある,気にし過ぎ,思い込みかなと考え,流してしまおうと思っていたところ,「あれ?」という話が始まりました.以前ほかにも悪化した気がする薬剤があり,それらに共通する項目があるというのです.その方はトウモロコシのアレルギーがあり,それらの薬にはトウモロコシデンプンが使用されているというのです.ほかにも多種食事アレルギーを有しており,度々血液検査などを施行されてきた方でしたので,とても敏感に感じ,ご自分で調べられていたのです.

 この方が内服していた抗ヒスタミン薬はアタラックスP®で,添加物としてトウモロコシデンプンが入っています.トウモロコシデンプンというのは賦形剤,結合剤,崩壊剤としてさまざまな薬剤に使用されています.以前ビオフェルミン®錠剤を内服した後にも皮疹の悪化があったとのことでしたが,ビオフェルミン®錠剤にもトウモロコシデンプンが入っています.アタラックスP®を中止し,状態は沈静化しました.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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