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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻6号

2014年05月発行

文献概要

症例報告

石灰沈着を伴う足底の血管平滑筋腫の1例

著者: 村上香織1 齋藤京1

所属機関: 1さいたま市立病院皮膚科

ページ範囲:P.433 - P.436

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要約 86歳,女性.数年前より左足底に異物感を認め圧痛を伴うようになり受診した.左足底に径12mmの圧痛を伴う弾性硬の皮下結節を認めた.病理組織学的所見にて小血管腔を多数認め,類円形の核を持つα-SMA染色陽性の好酸性の細胞が線維の増生を伴い錯綜していた.また結節内に石灰沈着を伴っており,石灰沈着を伴う血管平滑筋腫と診断した.本症の石灰沈着の機序は確立した説はないが,易刺激部で長期経過した際に石灰沈着を伴うという説や,膠原線維が占める割合が多い際に二次性変化として硝子様変性を経て石灰沈着に至るとする説が唱えられている.足部に発生した血管平滑筋腫の本邦報告22例の統計からは,石灰沈着が50%と本症全体の報告に比較し高率に認めており,前者の説が示唆された.一方で自験例は病理組織学的に硝子性変化が比較的強く,後者を否定するものではなかった.本症の石灰化には複合的な要因が考えられる.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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