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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻6号

2014年05月発行

文献概要

症例報告

頭部熱傷瘢痕に有棘細胞癌が先行し悪性黒色腫を生じた1例

著者: 溝口奈穂1 亀井利沙1 中井大介1 松本考平1 西尾優志2 松下哲也2 池上隆太1

所属機関: 1大阪厚生年金病院皮膚科 2大阪厚生年金病院形成外科

ページ範囲:P.441 - P.446

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要約 61歳,男性.1951年(1歳時)に頭部に熱傷を受傷した.1986年,後頭部上方の熱傷瘢痕に有棘細胞癌を生じ,拡大切除術および分層植皮術を施行した.2011年4月より後頭部左側の熱傷瘢痕に半球状に隆起した鶏卵大の皮下腫瘤を触知し,当科を再受診した.単純MRI画像にて皮下にT1強調像で中等度信号,T2強調像で軽度高信号を呈する23×15mm大の境界不明瞭な占拠性病変を認めた.全摘生検を行い,病理組織学的にS100蛋白陽性,HMB-45陽性の異型細胞がびまん性に増殖していた.また,皮下腫瘤上に認めた色素斑では表皮基底層にS100蛋白陽性,HMB-45陽性の異型細胞が胞巣を形成し,真皮網状層まで浸潤していた.色素斑を原発巣,皮下腫瘤を衛星病巣と考え悪性黒色腫stageⅢb(pT1aN2cM0)と診断した.DAC-Tam療法を6クール施行し,術後2年の経過で再発,転移を認めていない.稀ながら熱傷瘢痕に,同時性ないし異時性に複数の種類の皮膚癌を生じることがあり注意を要する.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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