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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻6号

2014年05月発行

文献概要

症例報告

角化性病変を呈した古典型Kaposi肉腫の1例

著者: 松﨑ひとみ1 本多皓1 高橋京子1 陳科榮1

所属機関: 1東京都済生会中央病院皮膚科

ページ範囲:P.447 - P.451

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要約 59歳,台湾人男性.6年前より右足に結節性病変が出現し,徐々に増大した.初診時,右足背内側には中央に暗紅色調の角化性局面を伴う線状の結節病変を認めた.右下腿には静脈瘤があった.血液検査上明らかな異常はなく,HIV抗体も陰性であった.病理組織所見は表皮に過角化を認め真皮全層にわたりスリット状の血管が増殖していた.血管壁を構成する細胞は紡錘形や多角形であり,核腫大を認めたが著しい異型はなく,免疫染色でCD31/CD34/D2-40は陽性,一部HHV-8が陽性であった.以上より古典型Kaposi肉腫と診断した.自験例のように過角化を伴うKaposi肉腫には下腿にリンパ浮腫を伴うことが多く,間質に漏出した蛋白質が慢性炎症とさまざまなgrowth factorの産生を促し,線維化と過角化をもたらすものと推測されている.Kaposi肉腫には種々の組織学的亜型があり,さまざまな臨床像を呈する点に留意することが重要である.

参考文献

1) 玉置邦彦,他:最新皮膚科学大系,13巻,中山書店,p186, 2003
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9) 上嶋祐太,他:皮膚臨床 52:1807, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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