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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻6号

2014年05月発行

治療

難治性静脈うっ滞性下腿潰瘍に対して内視鏡下筋膜下不全穿通枝切離術が奏効した1例

著者: 中里信一1 野村友希子1 柴景子1 平田悠1 本間英里奈1 有田賢1 大岡智学2 松居喜郎2 月永一郎3 西江渉1 清水宏1

所属機関: 1北海道大学大学院医学研究科皮膚科学分野 2北海道大学大学院医学研究科循環器呼吸器外科学分野 3KKR札幌医療センター皮膚科

ページ範囲:P.459 - P.464

文献概要

要約 32歳,男性.15年来の次第に拡大する右下腿潰瘍を主訴に当科を受診した.右下腿の全周に疼痛の乏しい最大24cm長の潰瘍を認め,病理組織学的には真皮の毛細血管増生,線維化,浮腫状肉芽組織および血管周囲性の形質細胞主体の炎症細胞浸潤がみられた.超音波検査で右下腿の表在静脈と穿通枝に逆流と拡張が確認された.使用歴のある外用剤によるパッチテストはすべて陰性であった.グルコース122mg/dl,血清IgA 507mg/dl以外に血算,生化学検査値に異常はなかった.以上より,不全穿通枝による静脈うっ滞性潰瘍(CEAP分類はC6EpAnPr)と診断した.弾性包帯による圧迫療法に加えて,内視鏡下筋膜下不全穿通枝切離術,小伏在静脈高位結紮術および植皮術を施行し,7か月間再発なく経過している.難治性下腿潰瘍を診察した場合,不全穿通枝による静脈うっ滞性潰瘍を鑑別診断の1つとして考えるべきである.不全穿通枝を伴う症例では,創合併症の少ない術式である内視鏡下筋膜下不全穿通枝切離術は有力な治療法の1つであると考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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