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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻7号

2014年06月発行

文献概要

症例報告

ダカルバジンによる光線過敏型薬疹の1例

著者: 小林紘子1 大原直樹1 秀道広1

所属機関: 1広島大学大学院医歯薬保健学研究院皮膚科学

ページ範囲:P.493 - P.497

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要約 72歳,男性.左踵部の悪性黒色腫術後DAV-Feron療法第3クール施行中に,静脈の走行に沿った樹枝状の紅斑がみられた.ダカルバジン点滴終了直後の光照射試験では,UVA照射1時間後より紅斑が出現し,UVAのMEDは28mJ/cm2と著明に低下していた.しかし,ダカルバジン点滴終了15時間後にはUVAを照射しても紅斑は出現せず,ダカルバジンの血中濃度は0.1μg/ml未満に低下していた.出現した皮疹はvery strongのステロイドを外用し,数日後に色素沈着を残して消退した.光線過敏型薬疹を確認後からは,DAV-Feron療法を遮光下でダカルバジンを投与したところ紅斑は出現しなかった.ダカルバジンによる光線過敏型薬疹は,紫外線曝露から症状発現までの時間が短いこと,ダカルバジンの血中濃度に依存して光線過敏性が出現することなどからは,光毒性による機序が示唆される.しかし,皮疹を発現させるのに必要な紫外線量が極端に少ないこと,出現する皮疹の強さが光線量に依存しないことなどからは光アレルギー性の関与も考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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