icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻7号

2014年06月発行

文献概要

症例報告

ダーモスコピー所見では診断困難であった円形脱毛症の1例

著者: 福島彩乃1 渡辺絵美子1 石田雅美2 大山学1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部皮膚科学教室 2医療法人社団澄心会皮膚科中山医院

ページ範囲:P.520 - P.524

文献購入ページに移動
要約 46歳,女性.半年前から頭頂部に脱毛斑が出現した.円形脱毛症の診断で塩化カルプロニウム,ステロイド剤を外用したが脱毛斑は拡大し,当科を紹介受診した.初診時,頭頂部に25×30mmの浮腫状で発赤を伴う脱毛斑を認めた.ダーモスコピー上,毛孔は確認できず毛包ムチン沈着症や瘢痕性脱毛症などを考えた.脱毛斑中央部の水平断病理組織標本では総毛包数の減少はなく,毛球部周囲の炎症性細胞浸潤,休止期毛の増加と毛包のミニチュア化を認めた.また,縦断標本で表皮の海綿状変化と真皮浅層の炎症性細胞浸潤をみたことから,慢性期の円形脱毛症に外用剤などの外的刺激で皮膚炎を生じ,表皮の浮腫性変化や鱗屑のため毛孔の観察が困難であったと考えた.ステロイド局所注射で加療し良好な再発毛を得た.脱毛症の鑑別にはダーモスコピーが有用とされるが,診断が困難な場合は病理組織学的評価が重要である.

参考文献

1) 乾 重樹:臨皮 65:84, 2011
2) 大山 学:日臨皮会誌 28:4, 2011
3) Inui S, et al:Int J Dermatol 47:688, 2008
4) Mane M, et al:Indian J Dermatol 56:407, 2011
5) Ross E, et al:J Am Acad Dermatol 55:799, 2006
6) Rudnicka L, et al:J Dermatol Case Rep 5:82, 2011
7) Rudnicka L, et al(eds):Atlas of Trichoscopy:Dermoscopy in Hair and Scalp Disease, Springer, London, p475, 2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら