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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻7号

2014年06月発行

文献概要

症例報告

必須アミノ酸欠乏によると考えられる腸性肢端皮膚炎様皮疹を生じたメチルマロン酸血症の1例

著者: 鉄谷真由1 石上剛史1 村尾和俊1 久保宜明1 小谷裕美子2 高野浩章3

所属機関: 1徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部皮膚科学分野 2徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部小児科学分野 3高知医療センター皮膚科

ページ範囲:P.525 - P.529

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要約 11歳,女児.生後まもなくメチルマロン酸血症と診断され,アミノ酸制限食(S-22®)を主とした食事療法を受けていた.2009年9月,発熱,食欲低下,筋力低下,嘔吐下痢を生じ当院小児科に入院した.重度の代謝性アシドーシスを認めたためメチルマロン酸血症の悪化と考え,絶食のうえ点滴とアシドーシスの補正を行ったが,1週間後に口囲,眼囲,外陰部,前腕,下腿に鱗屑痂皮を伴う紅斑,びらんを生じた.当科紹介時の血液検査で亜鉛,ビオチン濃度は正常であったが,イソロイシン6.6nmol/ml(基準値:37.0~100.4)を含む必須アミノ酸値が低下しており,必須アミノ酸欠乏によって生じた腸性肢端皮膚炎様皮疹と診断した.S-22®を中心とした食事療法を再開後,皮疹は急速に改善した.メチルマロン酸血症などの先天性有機酸代謝異常症ではアミノ酸の摂取を制限する必要がある.しかし,過度の制限により必須アミノ酸が欠乏し,腸性肢端皮膚炎様皮疹を生じることがあり注意を要する.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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