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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻7号

2014年06月発行

文献概要

症例報告

血管免疫芽球性T細胞リンパ腫の1例

著者: 猪熊大輔1 古口華子1 渡邉美佳1 菊地一博1 土屋喜久夫1 坂井俊哉2 柳内充3 辻隆裕3 深澤雄一郎3 清水聡子1

所属機関: 1市立札幌病院皮膚科 2市立札幌病院血液内科 3市立札幌病院病理診断科

ページ範囲:P.535 - P.539

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要約 62歳,男性.初診の10日前から,39℃の熱発と皮疹が出現した.顔面はびまん性の紅斑および腫脹を伴い,軀幹・四肢には点状の紅斑が多数散在し一部癒合していた.アロプリノールを含む複数の薬剤を内服中であったことから当初は薬疹が疑われた.しかし血液検査にて異型リンパ球の出現(WBCの23%),Hgb 8.6g/dl,Plt 2.1×104/μl,ALP 1,177IU/l,sIL-2R 8,900U/mlなどの異常値を伴い,胸腹部CTでは著明な脾腫,全身のリンパ節腫大を認めた.皮膚病理組織では真皮内に細胞が島嶼状に浸潤していた.鼠径リンパ節生検ではリンパ濾胞構造が消失し,高内皮細静脈は増生,CD21陽性細胞の濾胞樹状細胞は増加していた.T細胞受容体の遺伝子再構成を認め,血管免疫芽球性T細胞リンパ腫と診断した.自験例では当初は薬疹を考えた.しかし皮疹が遷延し,異型リンパ球出現など採血データでの異常値が続く場合には,リンパ腫による皮疹の可能性を鑑別に挙げる必要があると考えた.

参考文献

1) 山下卓也,他:血腫瘍 58:660, 2009
2) 菊池昌弘,他:最新・悪性リンパ腫アトラス,文光堂,p243, 2004
3) Tokunaga T, et al:Blood 119:2837, 2012
4) Lachenal F, et al:Medicine (Baltimore) 86:282, 2007
5) 日比谷孝志,他:血腫瘍 58:537, 2009
6) Balaraman B, et al:J Am Acad Dermatol 65:855, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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