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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻7号

2014年06月発行

文献概要

症例報告

大腸癌皮膚転移の1例

著者: 森志朋1 影下雄一1 前田文彦1 高橋和宏1 赤坂俊英1

所属機関: 1岩手医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.540 - P.544

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要約 54歳,男性.2008年頃より肛門周囲の発赤・腫脹・排膿を繰り返していた.2011年,近医で肛門周囲膿瘍の診断で切除術を施行された.その後も腫脹・排膿を繰り返し,疼痛が増強したため翌年,当科を紹介された.肛門周囲に弾性硬で手拳大の腫瘤があり,表面には大小の潰瘍を形成し排膿を伴い右鼠径リンパ節を触知した.直腸鏡,肛門鏡,下部消化管内視鏡検査では異常所見はなかった.局所麻酔下に腫瘍を切除したところ病理組織像は腺癌であった.術後に施行したCTとPET-CTで両鼠径リンパ節・骨盤内リンパ節の腫脹や異常集積を認めたため右鼠径リンパ節生検を施行した.リンパ節の病理組織像は充実性胞巣状の腫瘍細胞の増殖で,CK20,cdx-2,ビリン,CEAが陽性でCK7は陰性であり大腸癌の皮膚転移と診断した.その後の問診で患者は2010年に近医で結腸ポリープに対する内視鏡的粘膜切除術を受けており,病理組織像が大腸癌であったことが判明した.内臓悪性腫瘍の皮膚転移後の平均予後は5か月程度と報告されているが,自験例は初診から23か月経った現在も生存中である.各種内臓悪性腫瘍に対する集学的治療により皮膚転移をきたした場合でも予後の改善が期待できる.

参考文献

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8) Loy TS, Calaluce RD:Am J Clin Pathol 102:764, 1994

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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