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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻7号

2014年06月発行

文献概要

症例報告

下腿に生じた皮膚ムコール症の1例

著者: 田尻真貴子1 永田貴久1 三宅大我1 中村権一2 小林美和3 中村元信3

所属機関: 1飯塚病院皮膚科 2飯塚病院総合診療科 3産業医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.545 - P.549

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要約 65歳,男性.1年半前より,左下腿に紅色丘疹が出現し,拡大し,難治であった.初診時,左下腿に,辺縁の一部に結節を有する硬い浸潤を伴う紅斑を認めた.病理組織ではHE染色でmixed cell granulomaを認め,PAS染色で幅が広く細胞壁の薄い,隔壁のない菌糸を確認した.また,2回行った組織培養では綿毛状のコロニーを生じ,スライドカルチャーの所見を合わせてムコール症と診断した.局所切除およびアンホテリシンの投与を行い,現在まで再発は認めていない.また脳・肺・消化管病変もない.rRNA遺伝子検査にてRhizomucor variabilisと同定された.本菌はムコール症の起炎菌として稀である.遺伝子診断学的にはMucor属に類似しており,熱に弱いという特徴があることから病巣の浸潤・播種を起こしにくく,局所感染にとどまったと考えた.

参考文献

1) 徳田安孝,他:皮病診療 31:459, 2009
2) Abuali MM, et al:J Clin Microbiol 47:4176, 2009
3) Roden MM, et al:Clin Infect Dis 41:634, 2005
4) Voigh K, et al:J Clin Microbiol 37:3957, 1999
5) Lu XL, et al:Clin Infect Dis 49:e39, 2009
6) Zhao Y, et al:Mycopathologia 168:243, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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