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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻7号

2014年06月発行

文献概要

これすぽんでんす

偽陽性と偽陰性を念頭に置く

著者: 尾上智彦1 本田まりこ1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学葛飾医療センター皮膚科

ページ範囲:P.561 - P.561

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 検査には基本的には偽陽性と偽陰性がつきものであり,臨床検査に対して医師は常に懐疑的な見地から結果を分析することが求められる.

 角田らの報告のうち症例1はTreponema pallidum(TP)を抗原とする化学発光法陽性であったが,再検でTP抗原,カルジオリピン抗原のいずれも自動化法陰性,倍数希釈法陰性であったとの報告である.化学発光法と自動化法との乖離に関する検討は渡邉ら1)の報告が詳しい.同報告では346例の血清検体に対してTPを抗原とする化学発光法2種類に対する自動化法1種類の一致率をそれぞれ検討している.このうちいずれかの化学発光法陽性で自動化法陰性の症例は11例あり,結果の乖離した症例の合計は17検体(3%)ほどであった.渡邉らは乖離例に関してはTPを抗原とするイムノクロマト法,イムノブロッティング法ならびにカルジオリピンを抗原とする自動化法および倍数希釈法にて梅毒患者なのかどうかを検討しており.化学発光法陽性で自動化法陰性の症例は11例のうち,3例はその他の検査が陰性で非梅毒,残りの8例に関しては陳旧性梅毒と推測している.非梅毒患者血清の偽陽性に関しては自動化法および化学発光法で各々偽陽性を示した検体が異なっており検体由来ではなく試薬由来の特異性が原因と推測している.また化学発光法2法の結果の乖離に関しては,組み換え抗原の混合比や試薬化条件の違いに起因するものと推測している.

参考文献

1) 渡邉奈緒美,他:臨床病理 59:115, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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