臨床皮膚科68巻8号

2014年07月発行

原著

水戸済生会総合病院における帯状疱疹の動向および多施設共同による帯状疱疹227例の局所誘因についての検討

著者： 飯島茂子¹ 丸山智恵² 佐久間満里子³ 坪内由里⁴ 池上美智子⁵ 鈴木律子⁶ 西尾祐美⁷

所属機関： ¹水戸済生会総合病院皮膚科 ²東京女子医科大学八千代医療センター ³さくま皮フ科クリニック ⁴坪内皮膚科 ⁵いけがみ皮膚科 ⁶入間川病院 ⁷かがやき眼科皮膚科クリニック

ページ範囲：P.578 - P.583

文献概要

要約　水戸済生会総合病院での帯状疱疹の最近の動向および多施設での発症に関与する局所誘因について検討した．1998年1月～2010年12月の13年間における1年間の平均入院患者数は32.8±8.3人であった．総入院患者数に占める帯状疱疹患者の割合は，統計期間の初期3年では平均16%であったが，後期3年では平均9.8%と減少した．2004年1月～2010年12月の7年間における帯状疱疹患者総数は徐々に増加傾向を示した．月別罹患患者数は8月が14.1%と最も多かった．多施設での帯状疱疹227例の罹患神経領域では，胸神経領域51.1%，三叉神経領域20.7%，腰神経領域11.9%，頸神経領域11.5%，仙骨神経領域4.0%の順であったが，各神経別では，三叉神経第1枝領域が32名と最も多かった．局所誘因は227例中13.2%に認め，その内訳は，①外傷性13例(5.7%)，②手術瘢痕性9例(4.0%)，③反射性7例(3.1%)，④その他1例(0.4%)であった．今までに帯状疱疹の統計報告は多数みられるが，局所誘因の頻度を明確に示した報告はほとんどない．帯状疱疹の発症誘因を見出すことは，内臓病変や外傷の有無を発見することに繋がるので，詳細な問診は必要であると考えた．

参考文献

1) 漆畑　修：最新皮膚科学大系15，ウイルス性疾患・性感染症，中山書店，p33，2003，

2) 岸本和裕，紺野嘉宣：竹田病医誌 33:16, 2005

3) Patel SR, Ortin M:J Pediatr Hematol Oncol 27:106, 2005

4) Massad MG, et al:Ann Thorac Surg 78:2159, 2004

5) Levy JM, Smyth SH:J Vasc Interv Radiol 13:209, 2002

6) Foye PM, et al:Am J Ind Med 38:108, 2000

7) Dunst J, et al:Strahlenther Onkol 176:513, 2000

8) Skoll PJ, Hudson DA:Plast Reconstr Surg 106:1218, 2000

9) Nikkels AF, Pierard GE:J Am Acad Dermatol 41:309, 1999

10) 梅林芳弘，石井良征：皮膚臨床 40:837, 1998

11) 今村優子，他：臨皮 47:389, 1993

12) 吉田正己，本藤　良：日皮会誌 99:457, 1989

13) Savchak VI:Vestn Dermatol Venerol 8:63, 1989

14) 廣瀬　至，角田克博：日皮会誌 97:189, 1987

15) 東　直行，他：北村山病医誌 11:14, 2007

16) 松岡　明，他：癌の臨床 37:1079, 1991

17) Rusthoven JJ, et al:Arch Intern Med 148:1561, 1988

18) 安田秀美，他：西日皮膚 49:1070, 1987

19) 村木良一，他：西日皮膚 48:934, 1986

20) 丸山友裕，他：臨皮 37:197, 1983

21) 西山茂夫：皮膚病診療 1:16, 1979

22) 須貝哲郎，他：皮膚 13:118, 1971

23) Schönfeld W:Jadassohǹsche Handb. d. Haut-u. Geschlechts-krhten, J. Springer, Berlin, VII/1, S. 58, 1928

24) 上野賢一：最新医学 14:798, 1959

25) Turner RJ, et al:Br J Dermatol 139:295, 1998

26) 原本　泉，他：西日皮膚 49:1077, 1987

27) 伊藤文彦，他：西日皮膚 56:288, 1994

28) 石川博康，他：日皮会誌 113:1229, 2003

29) 小野公義：西日皮膚 56:763, 1994

30) 赤木竜也，他：島根医学 24:33, 2004