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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻8号

2014年07月発行

文献概要

症例報告

尋常性白斑に対しナローバンドUVB療法で治療中に限局性強皮症をきたした小児例

著者: 臼田佳世1 山本淳子1 堺美由紀1 野老翔雲1 大久保佳子1 高河慎介1 沢田泰之1

所属機関: 1墨東病院皮膚科

ページ範囲:P.596 - P.600

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要約 8歳,男児.1歳時より左手背,左前腕に白斑が出現.2歳時に近医で尋常性白斑と診断され,ナローバンドUVB(NB-UVB)療法を5年間継続していた.左手背の白斑には色素再生がみられたが,左前腕の白斑の一部に皮膚硬化が出現し,当科紹介受診した.初診時,左腕に径6cm大の光沢を伴う硬化局面を認めた.病理組織像にて真皮から脂肪織にかけての膠原線維の増生,均質化がみられ,血管周囲および皮下脂肪織に巣状のリンパ球浸潤を認めたことから限局性強皮症と診断した.尋常性白斑に限局性強皮症を合併した可能性はあるものの,白斑部位にNB-UVB照射後に皮膚硬化が発症し,終了後に改善したことから,副事象の可能性が高いと考えた.自験例のような幼児の皮膚の厚さは成人の1/2程度であり,NB-UVB療法による副事象もより強く出現した可能性がある.今後,幼小児の尋常性白斑においてNB-UVB療法は推奨されるべきではないと考える.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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