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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻8号

2014年07月発行

文献概要

症例報告

組織学的に真皮に母斑細胞を思わせる胞巣を認めた足底悪性黒色腫の1例

著者: 山本洋輔1 外川八英1 末廣敬祐1 鎌田憲明1 神戸直智1 斎田俊明2 松江弘之1

所属機関: 1千葉大学大学院医学研究院皮膚科学 2信州大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.631 - P.635

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要約 49歳,女性.初診約20年前に左足底の黒色斑を自覚し,初診時には径7×5mmの境界明瞭だが左右非対称,色調不均一でわずかに隆起する黒色斑を認めた.患者の希望により経過観察としていた.初診後5か月の時点で黒色斑は拡大し,一部にregressionがみられたため,悪性黒色腫と考え切除した.病理組織像では,皮丘部の表皮内汗管周囲を中心に核周囲が明るく抜ける類円形~紡錐形の腫瘍細胞が表皮内に分布し,一部真皮乳頭層に浸潤増殖していた.一方,中心部の真皮浅層には母斑様細胞の集塊があり,汗腺に沿うように存在していた.この集塊は免疫染色ではS100蛋白陽性,HMB45陰性であった.病歴とあわせて,真皮のこの細胞集塊は先天性色素性母斑と考えた.以上よりtumor thickness 0.4mm,pT1aN0M0と診断し,術後後療法はせず経過観察とし,術後9か月現在再発はみられていない.ダーモスコピーなどで悪性黒色腫を否定できない場合,小型の先天性色素性母斑が先行する場合であっても経過観察することが重要であると思われた.

参考文献

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10) Togawa Y, et al:Int J Dermatol 49:1362, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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