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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻8号

2014年07月発行

マイオピニオン

医療技術,医療情報の後輩への伝達について

著者: 藤原作平1

所属機関: 1大分大学医学部皮膚科

ページ範囲:P.576 - P.577

文献概要

 現在の職場に身をおいて30年近く経ったためか,私が所属した初期の頃と現在とでは,職場の雰囲気が随分変化したことを実感している.もちろん医療の質も向上し,それにつれて医療にかかわる仕事量も増加した.しかしそれに加えて人の意識も変化し,価値観も変化したように思う.20年前から比べても,携帯電話やインターネットが普及し,情報伝達スピードは格段に速くなった.しかし,その情報の質や咀嚼度はどうであろうか? むしろ情報の大海から不必要な情報をすばやく捨て去り,有益な情報のみを選択する能力が求められてきている.このようなスピード感のためか,まわり道が許されないような雰囲気となり,あわただしく時間が過ぎ去っていく.大学は,以前はむしろ経済や効率などとは異なる価値を求めていたと思うが,日本全体が経済的に萎縮してきたせいか,あるいは市場原理が大学にまで蔓延してきたせいか,最近では大型外部資金を獲得することが最も重要視されるようになってきた.加えて,新臨床研修制度の導入に代表されるような制度の変化もあいまって,さらにその傾向に拍車がかかっている.このような中で,どのような医療情報や技術を,後輩に今後いかに伝えていくべきかということを幅広く考えてみたい.

 1. 情報内容について

 電子カルテが導入され,また臨床写真も容易にそれに取り込めるようになって以来,皮疹の現症のとり方はかなりおろそかになってきているように思える.私自身パソコン入力が大変遅いせいもあり,現症が貧弱になってきたと自覚している.入局1年目の研修医には,私の外来に側診係としてついてもらい,いわゆるon the job trainingで現症の取り方を学んでもらっている.ただし研修医は,どうしても入力に手をとられ,学生より遠い位置から観察したり,学生のあとに触診せざるを得なくなる.が,割り込んででも,患者さんをよく見てほしいと思っている.

参考文献

1) 畑村洋太郎.組織を強くする技術の伝え方,講談社現代新書,2006
2) 柳田邦男の深呼吸,毎日新聞,2014年4月26日付朝刊

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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