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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻9号

2014年08月発行

文献概要

今月の症例

急激な膿疱化に伴いcapillary leak syndromeを併発した尋常性乾癬の1例

著者: 若林満貴1 平澤祐輔1 奥山泰裕1 丹羽祐介1 池田志斈1

所属機関: 1順天堂大学医学部皮膚科学・アレルギー学講座

ページ範囲:P.674 - P.678

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要約 64歳,男性.50歳頃に尋常性乾癬と診断され,クロベタゾールプロピオン酸エステル軟膏にてPASIスコア7程度で経過していた.外来加療中に,ステロイド外用剤の自己中断があり,紅斑の拡大とわずかな膿疱の出現(PASIスコア38)がみられたため,エトレチナート40mg/日の内服を開始した.しかし,3日後に紅皮症化,膿海の形成,発熱,全身の浮腫が出現し(PASIスコア45),緊急入院となった.採血でCRP 36.2mg/dlと著明な炎症反応がみられ,さらに呼吸不全(SPO2 94%,両側胸水貯留),腎不全(クレアチニン3.65mg/dl,乏尿)を併発した.諸検査結果で尋常性乾癬の膿疱化に伴う二次性capillary leak syndrome(CLS)と考えた.ステロイド全身投与(ベタメタゾン5mg/日)と,人工透析により呼吸不全,腎不全が改善し,PASIスコアは20となった.尋常性乾癬は一般的に予後良好な疾患であるが,紅皮症化や膿疱化などを契機にCLSを合併すると死亡に至ることがあるため,早期診断と適切な治療選択が望まれる.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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