臨床皮膚科68巻9号

2014年08月発行

症例報告

エリスロマイシンが奏効した急性痘瘡状苔癬状粃糠疹の1例

著者： 栗原和生¹ 津嶋友央¹

所属機関： ¹富士市立中央病院皮膚科

ページ範囲：P.689 - P.692

文献概要

要約　3歳，男児．大腿に頂点に壊死を付着する丘疹が出現し，その後全身に拡大した．近医でセフェム系抗生物質内服，ステロイド外用にて治療されたが改善しなかったため，当科を紹介された．初診時，2～7mm大の紅色丘疹が体幹・四肢に多発していた．個疹は壊死性結痂を頂点に伴い，鱗屑が縁どるように認められた．生検病理組織像では，表皮細胞壊死，真皮浅層リンパ球浸潤が顕著にみられた．以上より，急性痘瘡状苔癬状粃糠疹と診断した．エリスロマイシンの2か月間継続投与で皮疹はほぼ消退した．マクロライド系抗菌薬は，抗菌作用だけでなく，抗炎症作用，免疫調整作用があるため有効であったと思われる．エリスロマイシンは急性痘瘡状苔癬状粃糠疹の有効な治療の選択肢の1つであると考えた．

参考文献

1) 新見やよい，川名誠司：最新皮膚科学大系，4巻，中山書店，p175, 2003

2) 水野　寛，秀　道広：最新皮膚科学大系，特別巻2，中山書店，p231, 2004

3) Truhan AP, et al:J Am Acad Dermatol 15:66, 1986

4) Ersoy-Evans S, et al:J Am Acad Dermatol 56:205, 2007

5) Hapa A, et al:Pediatr Dermatol 29:719;2012

6) Bowers S, Warshaw EM:J Am Acad Dermatol 55:557, 2006

7) Weinberg JM, et al:Arch Dermatol 138:1063, 2002

8) 宮岡由規，他：皮膚臨床 37:1601, 1995

9) 白石正彦，他：青森中病医誌 37:220, 1992

10) Kim HS, et al:J Eur Acad Dermatol Venereol 21:272, 2007

11) Lazaridou E, et al:Int J Dermatol 49:215, 2010

12) 小川博史，他：皮膚臨床 52:1099, 2010

13) 佐多賀英吏子，他：皮の科 7:126, 2008

14) 永山博敏，他：皮膚病診療 33:63, 2011

15) 糸井沙織，他：日生病医誌 35:16, 2007

16) 中島泰子，他：日小皮会誌 31:25, 2012

17) 戸倉新樹：皮膚科診療プラクティス10，文光堂，p127, 2000

18) Alzolibani AA, et al:Mediators Inflamm 2012:159354, 2012

19) 工藤翔二，他：日胸疾患会誌 25:632, 1987