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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻9号

2014年08月発行

症例報告

成人発症Still病の2例

著者: 佐々木桃子1 杉山由華1 佐々木哲雄2

所属機関: 1静岡医療センター皮膚科 2国際医療福祉大学熱海病院皮膚科

ページ範囲:P.693 - P.698

文献概要

要約 症例1:53歳,女性.四肢筋関節痛,発熱,咽頭痛があり,フェリチン4,164ng/ml,CRP 11.06mg/dlであった.発熱に伴って出現する紅斑がみられ,病理組織像では真皮上層の血管周囲主体の好中球を混ずる軽度の炎症細胞浸潤が認められた.他疾患が除外され,定型的皮疹もみられたため,成人発症Still病と診断した.ステロイド点滴,内服で加療し,1年5か月で中止した.発症から3年2か月間通院し,再燃はみられていない.症例2:61歳,女性.初診1か月前から皮疹,咽頭痛,5日前から関節痛があった.末梢血白血球14,800/μlと増多,CRP 17.69mg/dlで,即日入院した.39℃以上の発熱,フェリチン10,100ng/ml,肝機能異常があった.軽度浸潤性の紅斑が広範囲にみられ,病理組織像では真皮上層の好中球を混ずる炎症細胞浸潤が認められた.自己抗体陰性で,同症と診断した.ステロイド点滴当初に症状再燃とフェリチン値の更なる上昇がみられたが,その後改善に転じ,プレドニゾロン内服に切替え,30mg/日で退院した.両例において血清フェリチン値は本症の診断のみならず,その病勢の指標としても有用と考えられた.

参考文献

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9) de Boysson H, et al:Clin Rheumatol 32:141, 2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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