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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻9号

2014年08月発行

文献概要

症例報告

皮膚筋炎と鑑別を要した成人Still病の1例

著者: 廣門未知子1 高橋一夫1 内田敬久1 池澤善郎2 須田昭子3 岳野光洋3

所属機関: 1横浜市立大学医学部皮膚科 2国際医療福祉大熱海病院皮膚科 3横浜市立大学医学部リウマチ血液感染症内科

ページ範囲:P.699 - P.703

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要約 79歳,女性.2006年10月頃より掻痒を伴う皮疹が出現し,その後39℃台の発熱と関節痛が出現した.初診時,体幹,四肢に強い掻痒を伴う掻破に一致した浮腫性紅斑がみられ,色素沈着を混じていた.好中球優位の白血球増加,フェリチン,CRPの上昇とともにアルドラーゼ,ミオグロビンの上昇を伴った.皮膚生検病理組織像では明らかな液状変性はないがリンパ球の表皮内浸潤,異常角化細胞,真皮浅層の浮腫と血管周囲に好中球浸潤も伴うリンパ球主体の炎症細胞浸潤を認めた.全身検索で子宮頸癌が見つかり,腫瘍随伴性の皮膚筋炎も考えられたが,成人Still病診断の主要項目である39℃台の高熱,関節痛,白血球増加を認め,皮膚症状も非定型疹に一致しており,成人Still病と診断した.成人Still病の診断は特異的マーカーがいまだなく皮疹の評価が重要であるが,成人Still病の非典型疹を考えるうえで自験例は示唆に富んでいると思われ報告した.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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