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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻9号

2014年08月発行

文献概要

症例報告

左母指指端に生じた有茎性悪性末梢神経鞘腫瘍の1例

著者: 貞安杏奈1 芳賀貴裕1 相場節也1

所属機関: 1東北大学病院皮膚科

ページ範囲:P.711 - P.714

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要約 86歳,男性.2012年11月,左母指指端を受傷した.その後,同部位に小結節が生じたが自然に消退した.12月上旬に同様の結節が出現し,急激に拡大したため,2013年1月上旬に近くの皮膚科を受診し,有棘細胞癌の疑いで当科を紹介受診した.初診時,左母指指端に26×21×20mm大の血痂,潰瘍を付着し壊死を伴う暗赤色ないし黄色調の有茎性結節を認めた.血管拡張性肉芽腫,エクリン汗孔腫あるいは癌を鑑別に切除生検した.病理組織学的に紡錘形の異型細胞が増殖し,免疫染色ではビメンチン,S100蛋白,NSE,ネスチン陽性であり,悪性末梢神経鞘腫瘍と診断した.切除断端は陰性で,術後6か月経過し,局所再発や転移は認めていない.悪性末梢神経鞘腫瘍は四肢近位や体幹に好発し,30~50%は神経線維腫症I型に合併する.今回われわれは非神経線維腫症I型の患者に生じた指端の悪性末梢神経鞘腫瘍を経験した.発症部位や臨床像からは診断が困難であった.

参考文献

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12) Ducatman BS, et al:Cancer 57:2006, 1986

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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