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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻9号

2014年08月発行

文献概要

症例報告

リンパ節転移を伴ったmucinous carcinoma of the skinの1例

著者: 仁木真理子1 松立吉弘1 村尾和俊1 久保宜明1 橋本一郎2 柏木圭介2 仙崎雄一2 中西秀樹2

所属機関: 1徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部皮膚科学分野 2徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部形成外科学分野

ページ範囲:P.720 - P.724

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要約 61歳,女性.未治療の糖尿病あり.1年前に右側頭部の腫瘤が生じ,徐々に増大した.初診時,右側頭部に60×45×20mmのびらん・潰瘍を伴う紅色腫瘤を認めた.CA19-9 113U/ml.病理組織では,腫瘍は線維性隔壁に区切られ,この中にアルシアンブルー染色陽性の粘液様物質と卵円形で中等度の異型性を伴う腫瘍細胞塊がみられた.腫瘍細胞はサイトケラチン(CK)7陽性,CK20陰性で,内臓悪性腫瘍は認めなかった.Mucinous carcinoma of the skin(MCS)と診断し,辺縁より2cm離し,骨膜を含め切除した.センチネルリンパ節に転移があり,頸部リンパ節郭清術も行ったが,郭清したリンパ節のうち1個に転移があった.術後8か月目に,耳後部皮下にin transit転移を生じた.病理組織は原発巣とは異なり,粘液様物質のほとんど伴わない腫瘍細胞塊が主体であった.MCSは転移はまれで予後の良い腫瘍とされているが,大型で,表面に潰瘍を伴う場合や病理組織学的に粘液様物質の少ない腫瘍細胞塊がみられる場合には転移の可能性を念頭に置く必要がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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