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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻9号

2014年08月発行

症例報告

下腿の硬結として初発したOsler結節から診断に至った感染性心内膜炎の1例

著者: 中村元泰1 関東裕美1 福田裕子1 大橋則夫1 渡邊善則2 佐々木雄毅2 藤本進一郎3 高村和久3 石河晃1

所属機関: 1東邦大学医療センター大森病院皮膚科 2東邦大学医療センター大森病院循環器外科 3東邦大学医療センター大森病院循環器内科

ページ範囲:P.725 - P.730

文献概要

要約 49歳,男性.初診の4日前から発熱と左下肢痛が出現し,歩行不能となり当院救急外来を受診した.初診時,左下腿に発赤,腫脹と,熱感を伴う鶏卵大の硬結を認めた.CRP,白血球数が高値であり,蜂窩織炎の疑いで入院した.生検施行後抗生剤投与にて症状は軽快し,1週間後に退院したが,その1週間後,再度39℃の発熱が出現し,再入院した.再入院時,手指に有痛性の紅色結節が,手掌,足趾には無痛性の点状出血がみられた.初診時みられた下腿の硬結の生検結果より下腿と手指の結節はOsler結節と診断した.心エコーで大動脈弁に疣贅,血液培養で黄色ブドウ球菌が確認され,感染性心内膜炎が明らかになった.循環器内科に転科後,抗生剤による治療が奏効し,諸検査が正常化し,大動脈弁置換術を行った.Osler結節は手指足趾に好発するが,他の部位に硬結として発症することがあり,発熱患者に有痛性紅斑を認めた際にはOsler結節も念頭に置くべきと考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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