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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻9号

2014年08月発行

症例報告

生毛部急性深在性白癬の2例

著者: 原田和俊1 佐野信也1 川村龍吉1 柴垣直孝1 畑康樹2 島田眞路1

所属機関: 1山梨大学医学部皮膚科 2済生会横浜東部市東部病院皮膚科

ページ範囲:P.731 - P.736

文献概要

要約 症例1:70歳,男性.腕時計を装着していた左前腕伸側に紅斑が出現した.ステロイド軟膏を外用するも,皮疹が改善しないため当科を受診した.症例2:80歳,男性.腕時計を着用していた左前腕に紅斑が出現した.さらに腕時計を右腕に付け替えたところ,右前腕にも同様な紅斑が出現した.ステロイド軟膏を外用して皮疹が増悪し,当科へ紹介された.両症例とも,前腕伸側に浸潤を触れる紅斑,小丘疹が局面を形成していた.病理組織学的に毛囊周囲に炎症細胞浸潤があり,組織培養でTrichophyton rubrumが検出された.以上の検査結果より,生毛部急性深在性白癬と診断し,抗真菌剤内服により治癒した.2症例とも,前腕に出現した紅斑に,ステロイド軟膏を外用し,皮疹部に腕時計を着用していた.これらの経過から,本疾患において,不適切なステロイド軟膏の外用と局所の湿潤環境が重要な発症因子である可能性が示唆された.

参考文献

1) 田中壮一:最新皮膚科学大系14,中山書店,p229, 2003
2) 田中壮一:日皮会誌 121:2980, 2011
3) 畑 康樹,他:真菌誌 42:19, 2001
4) 野村みずほ,他:皮膚臨床 53:559, 2011
5) 馬場利容,他:皮膚病診療 22:649, 2000
6) 齊藤玲子,他:真菌誌 49:211, 2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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