icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科69巻1号

2015年01月発行

症例報告

小麦粉含有製品内で増殖したダニによるアナフィラキシーの3例

著者: 伊勢美咲1 小幡祥子1 木花いづみ1 松村和哉2 山田健一朗2

所属機関: 1平塚市民病院皮膚科 2平塚市民病院小児科

ページ範囲:P.19 - P.24

文献概要

要約 症例1:36歳,男性.自宅で調理したたこ焼きを摂取直後,全身の膨疹,咳嗽が出現した.症例2:9歳,女児.症例1の娘である.父とともに食事し,ほぼ同時に全身の膨疹,呼吸苦が出現した.症例3:37歳,女性.自宅で保管した天ぷら粉で調理した天ぷら摂取直後,軀幹の掻痒と紅斑,喘鳴が出現した.いずれも,アナフィラキシーに対する急性期治療を行った.3例とも気管支喘息とアトピー性皮膚炎の既往があり,ダニの特異IgEが>100〜31.50UA/mlと高値だった.使用した粉は開封後,室温で数か月保管した賞味期限切れのものであった.粉の鏡検で多数のコナヒョウヒダニを確認,プリックテストで,使用した粉とダニ抗原に陽性だった.本症はダニにアレルギーをもつ患者に大量の抗原曝露を誘因として発症すると考えられ,近年の生活様式や食生活の変化に伴い増加している.アレルギー素因を有する患者やその家族には,開封済み小麦粉製品の冷所保存など徹底した指導が必要である.

参考文献

1) Erben AM, et al:J Allergy Clin Immunol 92:846, 1993
2) Sánchez-Borges M, et al:J Allergy Clin Immunol 131:31, 2013
3) Matsumoto T, et al:Int Arch Allergy Immunol 109:197, 1996
4) Batard T, et al:Int Arch Allergy Immunol 140:295, 2006
5) 高井敏朗:臨床検査 49:739, 2005
6) 松本知明,他:小児科 45:1458, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら