icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科69巻1号

2015年01月発行

文献概要

症例報告

ランサップ® 800に含まれるアモキシシリンとランソプラゾールによる薬疹の1例

著者: 渋谷倫太郎1 原本理恵1 井形華絵1 大谷稔男1

所属機関: 1倉敷中央病院皮膚科

ページ範囲:P.33 - P.37

文献購入ページに移動
要約 34歳,男性.Helicobacter pylori(H. pylori)の除菌目的でランサップ®800を処方され,内服5日目に39℃の発熱や下痢が出現した.さらに4日後には四肢に掻痒を伴う紅斑が生じ次第に全身に拡大したが,プレドニゾロン(PSL) 30mg/日の内服で治癒した.ランソプラゾール,アモキシシリン,クラリスロマイシンの薬剤リンパ球刺激試験(drug-induced lymphocyte stimulation test:DLST)はランソプラゾールのみ陽性で,パッチテストはアモキシシリンのみ陽性だった.ランソプラゾールとアモキシシリンの内服試験は2剤とも陽性だった.H. pyloriの除菌治療による薬疹の原因薬剤はアモキシシリンの頻度が高いが,DLSTが陰性でパッチテストによりアモキシシリンと判明する例が少なくない可能性がある.また,アモキシシリンが原因薬剤のときは,ランソプラゾールも同時に原因薬剤となる例が存在することを念頭に置くべきであると思われた.

参考文献

1) 福田英嗣,他:皮膚臨床 54:1121, 2012
2) 石黒恵美子,他:日皮会誌 122:95, 2012
3) 吉田恵利香,他:日皮会誌 123:204, 2013
4) 遠藤英樹:アレルギー 62:463, 2013
5) 夏秋 優,他:皮膚臨床 54:1497, 2012
6) 武藤美香,他:日皮会誌 110:1543, 2000
7) 今村有希子,他:東女医大誌 77:458, 2007
8) 西出武司,他:臨皮 57:675, 2003
9) 矢野道子,小笠原恭子:皮膚臨床 46:1703, 2004
10) 苅谷直之,他:日皮会誌 114:999, 2004
11) 竹川 清,他:皮膚病診療 19:25, 1997
12) 吉見宣子,他:皮膚の科学 8:313, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?