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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科69巻1号

2015年01月発行

症例報告

摂食不良と飲酒が誘因と考えられたペラグラ

著者: 藤原明子1 藤本智子2 高山かおる1 井川健1 佐藤貴浩3 横関博雄1 丸山隆児4

所属機関: 1東京医科歯科大学医学部附属病院皮膚科 2東京都立大塚病院皮膚科 3防衛医科大学校皮膚科 4まるやま皮膚科クリニック

ページ範囲:P.42 - P.46

文献概要

要約 78歳,男性.手術歴なし.2008年7月頃から両側前腕に紅斑が出現,ステロイド外用に反応せず同年8月に当院へ紹介された.初診時,両手背から前腕にかけて掻痒のない境界明瞭な色素沈着を伴う暗紅色斑があり一部に弛緩性水疱,痂皮を形成していた.病理組織では表皮の菲薄化,真皮の血管拡張,赤血球の漏出がみられた.血液検査でニコチン酸は7.2μg/mlと正常範囲であったが,トリプトファンが16nM/dlと低値でありペラグラと診断した.ニコチン酸アミド(100mg/日)内服2週間にて略治した.食生活を再調査したところ歯牙脱落によりほとんど食物摂取せず飲酒中心の生活を数年続けていた.また,過去20年間の症例を解析した結果,ニコチン酸が正常であってもペラグラを発症する割合は非飲酒者の1割に対し飲酒者は約4割と高く,アルコール代謝経路との強い関連が示唆された.飲酒者の難治性皮膚病変をみた場合はペラグラを疑うことも必要と考えた.

参考文献

1) 梶 麻子,他:臨床栄養 92:793, 1998
2) 青木啓真:皮膚臨床 47:593, 2005
3) Elder DE, et al:Lever's Histopathology of the Skin, 10th ed, Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, p410, 2008
4) 中野長久:ビタミン 75:87, 2001
5) 佐藤吉昭:現代皮膚科学大系,第19巻B,中山書店,2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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