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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科69巻1号

2015年01月発行

症例報告

陰圧閉鎖療法が分層植皮片の固定に有用であった腋窩部熱傷の1例

著者: 山本紗規子1 藤尾由美1 田中諒1 舩越建1 齋藤昌孝1 髙江雄二郎1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.61 - P.64

文献概要

要約 45歳,女性.料理中に引火した油によって,右上腕内側,腋窩から側胸腹部にかけて体表面積の約5%に及ぶ深達性Ⅱ〜Ⅲ度の熱傷を受傷した.熱傷後に生じた潰瘍に対する治療として,関節可動域を含むことからタイオーバー法による均一な圧迫固定が困難なため,陰圧閉鎖療法を用いて75mmHgの持続陰圧をかけて植皮片を固定した.術後の関節固定は行わず,植皮術後5日目に陰圧を解除した.関節可動域,非可動域いずれにおいても植皮の生着は良好で,二次感染も認めなかった.術後2週間にはメッシュ孔はほぼ上皮化し,術後3か月には関節の拘縮も改善した.陰圧閉鎖療法を用いた固定では,関節部等の複雑な形態の創面に対する植皮においても,均一な圧迫が可能であり,安静度を緩和できることから関節拘縮の緩和の面でも有用であると考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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