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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科69巻10号

2015年09月発行

今月の症例

Mycobacterium mageritenseによる皮膚感染症の1例

著者: 丸山涼子1 松山麻子1 株本武範1 田邊嘉也2 伊藤雅章1

所属機関: 1新潟大学大学院医歯学総合研究科皮膚科学分野 2新潟大学医歯学総合病院感染管理部

ページ範囲:P.722 - P.726

文献概要

要約 52歳,女性.特に外傷等の既往なく,右臀部に25×25mm大の皮下結節と,小瘻孔が出現した.瘻孔からの滲出液の抗酸菌塗抹検査では,ガフキー1号であった.国立結核予防会結核研究所に菌種の同定を依頼し,Mycobacterium mageritenseと判明した.臀部の皮下結節は筋膜直上まで切除し,全層植皮術を施行した.しかし,病理組織学的に切除断端にて抗酸菌を認めたため,クラリスロマイシン800mg分2とレボフロキサシン500mg分2の内服を半年間行った.その後,右臀部に再発はなく,他病変にも新生していない.M. mageritenseは非常に稀な非結核性抗酸菌であるとともに,菌種の同定も難しく,本邦の感染報告例は少ない.調べえた限り皮膚科領域での報告は自験例が1例目とみられる.積極的に菌種の同定を行い,M. mageritenseについての皮膚感染症例を蓄積し,治療法などを確立する必要があると思われた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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