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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科69巻10号

2015年09月発行

症例報告

ボルテゾミブによる汎発性帯状疱疹の1例

著者: 西坂尚大1 米田明弘2 井山諭3 山下利春4

所属機関: 1手稲渓仁会病院皮膚科 2桑園オリーブ皮膚科クリニック 3札幌医科大学医学部腫瘍・血液内科学講座 4札幌医科大学医学部皮膚科学講座

ページ範囲:P.773 - P.776

文献概要

要約 59歳,男性.多発性骨髄腫治療のためボルテゾミブを投与された後,体幹に紅色丘疹型薬疹を発症した.ジフルプレドナート軟膏を外用し,速やかに皮疹は消失した.その後,右胸部に集簇する紅暈を伴う水疱と全身に播種性に散在する同様の小水疱が出現した.皮疹と経過より汎発性帯状疱疹と診断した.採血上,VZV-IgMは著変はなかったが,VZV-IgGは4.6から35.2と増加した.皮膚生検病理組織像の結果もVZV感染に矛盾しない所見が得られた.バラシクロビル内服を開始し,速やかに水疱は痂皮化した.ボルテゾミブも多発性骨髄腫も細胞性免疫能を低下させる.それらを念頭に置いて皮疹を観察することによって自験例のように少数の水疱からでも汎発性帯状疱疹と診断することができる.ボルテゾミブと多発性骨髄腫の疾患の性質を理解することは,その治療経過中に細胞性免疫能低下によって引き起こされる合併症を早期かつ的確に診断する上で重要であると考える.

参考文献

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8) Aoki T, et al:Jpn J Clin Oncol 41:876, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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