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IgA天疱瘡は妥当な病名か?—Then and now
著者: 西川武二12 橋本隆3
所属機関: 1慶應義塾大学 2左門町皮膚科 3久留米大学皮膚細胞生物学研究所
ページ範囲:P.814 - P.815
文献購入ページに移動最近,Gellerらは,非定型的な「IgA天疱瘡」と考えられる症例を経験し,彼らの渉猟した20例のIgA天疱瘡例を詳細と合わせ検討した結果,表皮細胞膜や基底膜部の種々の自己抗原に対するIgAクラスの自己抗体を有する非定型症例をも包括する病名として「IgA天疱瘡スペクトルム(IgA pemphigus spectrum:IGAP spectrum)」を提唱した1).要はBeutnerらにより命名されたIgA天疱瘡2)をさらに拡大解釈して使いやすくしたらという提案である.
私たちは,1980年代から,このIgA抗表皮細胞膜部自己抗体を有し,臨床的に角層下膿疱症(subcorneal pustular dermatosis:SPD),落葉状天疱瘡(pemphigus foliaceus:PF)などに似た皮膚症状を示す患者群について,国内外の症例を集積するとともに,自己抗体・自己抗原の検討を続けてきた3〜6).本疾患群の本態を追求する研究者も研究手技も時の流れとともに変わってきている.そこでIgA天疱瘡が「天疱瘡」か否かについて現時点での私たちの考えをもう一度改めて述べてみたい.なお,このトピックについての見解はBr J DermatolにもCorrespondenceとして掲載される7).あわせて読者の参考となればと考える.
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