icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科69巻11号

2015年10月発行

文献概要

症例報告

ステロイドとロキシスロマイシンを併用した好中球性皮膚症の1例

著者: 安見真希1 和田誠1 金久史尚1 貫野賢1 浅井純1 花田圭司1 加藤則人1

所属機関: 1京都府立医科大学大学院医学研究科皮膚科学

ページ範囲:P.816 - P.820

文献購入ページに移動
要約 64歳,女性.頸部リンパ節炎の精査中であった2009年10月中頃より,左下腿および両手掌から手背にかけて自覚症状を伴わない紅斑が出現した.徐々に同部位に膿疱が出現したため,2009年11月初旬に当科を受診した.病理組織学的に角層下膿疱と表皮の海綿状態を認め,真皮上層から皮下組織にかけて好中球を中心とした炎症細胞浸潤を認めた.蛍光抗体直接法で免疫グロブリンと補体の沈着は認めなかった.ステロイド外用でいったん軽快したが,2010年2月から4月にかけて皮疹の再燃と軽快を繰り返した.末梢血中好中球の増多とともに,皮疹が増悪していたが,ロキシスロマイシンの内服を開始したところ皮疹の再燃はなくなった.ロキシスロマイシンの抗炎症作用は近年注目されているが,好中球性皮膚症に対してはロキシスロマイシンの使用例の報告は少ない.ロキシスロマイシンの併用が好中球性皮膚症に対して有効な治療法の1つと考えられた.

参考文献

1) Caughman W, et al:J Am Acad Dermatol 9:751, 1983
2) Vignon-Pannamen MD, et al:Dermatologica 183:255, 1991
3) 岡島加代子,他:日皮会誌 114:612, 2004
4) 西村幸秀,他:皮の科 3:118, 2004
5) 大西正純,他:臨皮 63:12, 2009
6) 岡本恵芽,他:皮膚臨床 52:801, 2010
7) 岸本和裕,他:皮膚臨床 52:789, 2010
8) 小林康隆,他:日皮会誌 121:3410, 2011
9) 神谷浩二,他:日皮会誌 122:2922, 2012
10) 小田富美子,他:西日皮膚 75:278, 2013
11) 李  民,他:皮膚臨床 52:795, 2010
12) 西脇 薫,他:皮膚臨床 52:785, 2010
13) 朝英奈昭彦,他:日皮会誌 118:950, 2008
14) 一角直行,他:皮の科 9:181, 2010
15) 村田光麻,他:皮の科 10:236, 2011
16) 横見明典,他:日皮会誌 119:961, 2009
17) 武原康平,他:日皮会誌 122:770, 2012
18) 綿貫沙織,他:日皮会誌 120:3103, 2010
19) 工藤沙織,他:日皮会誌 121:3421, 2011
20) 村上正文,他:皮の科 9:24, 2010
21) Enomoto F, et al:Auris Nasus Larynx 29:267, 2002
22) Tamaoki J, et al:Am J Med 117:5S, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?